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築10年超のメンテナンス提案を先送りするお客様の心理とは?

新築住宅には、住宅品質確保法にもとづき、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が定められていますが、築10年前後は、10年間の瑕疵担保責任の節目を迎え、住まいの状態や今後のメンテナンスについて改めて考えるタイミングのひとつです。一方で、お客様からは「もう少し様子を見たい」と、建物の劣化状況の実態を確認せずに先送りすることも少なくないようです。

そこで本記事では、お客様がメンテナンス提案を先送りにする理由を仮説しながら、現場でどうメンテナンスを提案すべきかについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.なぜメンテナンス提案は先送りされる?3つの仮説
    1. 1.1.仮説①「不要」ではなく「費用・適正価格への不安」
    2. 1.2.仮説② 劣化を実感できず、必要性を感じられない
    3. 1.3.仮説③ 事業者からの説明だけでは「営業されている」と受け止める
  2. 2.【4ステップ】客観データでメンテナンスの必要性を伝える手順
    1. 2.1.ステップ① 工事の話ではなく「定期点検の案内」で接点をつくる
    2. 2.2.ステップ② 第三者検査で劣化状況を「客観的なデータ」にする
    3. 2.3.ステップ③ 報告書の写真と所見で「なぜ」「どこ」を示す
    4. 2.4.ステップ④ 選択肢と時期の目安を提案して、最終判断の材料を揃える
  3. 3.【Q&A】築10年超のメンテナンス提案に関する一般的な質問
    1. 3.1.質問① 点検の案内は、築何年ごろから始めるのが一般的ですか?
    2. 3.2.質問② 第三者検査と自社点検は何が違いますか?
    3. 3.3.質問③ 検査報告書はどのように保管・活用すればよいですか?
  4. 4.メンテナンス提案の先送りを防ぐのは、説得ではなく客観データによる根拠の提示

なぜメンテナンス提案は先送りされる?3つの仮説

なぜお客様は、「もう少し様子を見たい」と先送りしているのでしょうか?ここでは、お客様がメンテナンス提案を先送りする背景を、消費者調査のデータと提案から、3つの仮説として整理します。

仮説①「不要」ではなく「費用・適正価格への不安」

お客様から「もう少し様子を見たい」と返されたあと、一定の期間をおいて、再度同じ内容の提案をしていないでしょうか。もし先送りの理由が、工事が不要という判断ではないとしたら、同じ提案を繰り返しても状況は変わりにくいと考えられます。

実際の調査データを見ると、リフォームを検討している人の不安として「費用がかかる」(39.3%)が最も多く、それに加えて「見積もりの相場や適正価格がわからない」(30.5%)が上位を占めています(※1)。

このことから、お客様はメンテナンスの必要性そのものを否定しているのではなく、「本当に今やる必要があるのか」「この価格は妥当なのか」を判断する材料が足りないために、保留を選んでいるのではないかと考えられます。

※1引用元:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2024年度 住宅リフォーム消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」2025年2月

仮説② 劣化を実感できず、必要性を感じられない

外装の劣化は、お客様ご自身が実感しにくく、実感がなければメンテナンスの必要性も感じられません。外壁や屋根は、水回りの故障と違って生活への支障が出にくい部位であり、劣化が進んでいても日々の暮らしの中で気づくことは難しいでしょう。

データにもこの傾向はあらわれています。リフォーム箇所に外壁を挙げる人は、これから検討している人では15.4%にとどまる一方、実際に実施した人では24.8%でした(※1)。

10年間の瑕疵担保責任が切れる節目を迎えても、お客様が劣化を実感できていないうちは、提案は先送りされやすいと考えられます。だからこそ、実感の代わりになる根拠をどう示すかがポイントになります。

仮説③ 事業者からの説明だけでは「営業されている」と受け止める

提案する側と工事を受注する側が同じ会社である以上、どれほどお客様のことを考えて誠実に説明しても、お客様から見れば利害と完全に切り離して受け止めることは難しい場合があります。これは担当者の説明の仕方や人柄の問題ではなく、提案の構造そのものに由来するものです。

特に、適正価格がわからないという不安を抱えているお客様にとって、判断材料が事業者の説明だけという状態は心細いものではないでしょうか。どれだけ客観的で親切な説明を心がけ、プロとしてお客様の住まいに必要なメンテナンスを熱心に提案していても、お客様から見ると、提案する事業者と工事を提供する事業者が同じであるという構図は変わりません。

そのため、提案の背景にある専門的な判断やお客様への想いが十分に伝わらず、「営業活動の一環なのではないか」と受け取られてしまうこともあります。

この構造を踏まえると、自社の説明を磨くことに加えて、利害から独立した第三者の視点を判断材料に加えることで、お客様が安心して判断できる環境づくりにつながる有効な選択肢と考えられるでしょう。

【4ステップ】客観データでメンテナンスの必要性を伝える手順

3つの仮説に共通しているのは、お客様の手元に判断材料がない点でした。だとすれば、メンテナンス提案に必要なのは、説得するのではなく、判断の根拠になるデータを渡すことだと言えるでしょう。

ここからは、第三者検査による客観データを軸に、メンテナンスの必要性と時期を伝えていく流れを4つのステップで解説します。

ステップ① 工事の話ではなく「定期点検の案内」で接点をつくる

最初に取り組むのは、工事の提案ではなく点検の案内です。顧客台帳を築年数で整理し、築10年前後を迎える住まいへ「住まいの定期点検」として案内してみてはいかがでしょうか。

突然工事の話から入ると、それ自体が営業と受け取られ、売り込みに対する警戒心を持たれるかもしれません。しかし、点検の案内から入ることで、工事を前提とした営業ではなく、まず住まいの現状を確認する機会として受け止めてもらいやすくなります。

この段階では、決して受注を急がず、点検をきっかけに定期的な接点を持つことがポイントになります。接点が続けば劣化状況の変化を継続的に把握しやすくなり、将来的なメンテナンス提案にもつなげやすくなると考えられます。

築10年の時点では、工事を受注することよりも、接点を持ち続ける土台をつくり、住まいの状態を記録に残すことに集中していく段階だと言えるでしょう。

ステップ② 第三者検査で劣化状況を「客観的なデータ」にする

次に取り組むのは、点検の内容に第三者検査を組み合わせることの検討です。第三者検査には国の枠組みに基づくものだけでなく、民間企業が独自の基準や品質管理体制のもとで実施しているものもあります。

制度や実施主体は異なりますが、いずれも第三者の客観的な視点で住宅の状態を確認し、所有者に分かりやすく伝えることを目的としている点は共通しています。仮説①・③で見た「事業者の言葉だけでは判断できない」という不安には、このような客観的な報告書が有効ではないかと考えられます。

もちろん、自社点検でも建物の状態は確認できます。ただ、お客様が「本当に工事が必要なのか」を判断する場面では、第三者による一定の基準に基づく調査結果が安心材料になるケースもあります。自社点検と第三者検査のどちらか一方に絞るのではなく、目的に応じて組み合わせていく形も選択肢のひとつです。

ステップ③ 報告書の写真と所見で「なぜ」「どこ」を示す

検査が終わったら、報告書の写真を見せながら、いま何が起きているのか、放っておくとどう進むのか、どこから手を入れるのかを順に伝えます。言葉だけの説明と違い、写真が根拠になるので、「なぜ今なのか」がお客様に客観的に伝わりやすくなります。

このときのポイントは、すべてを一度に直す前提で話を進めないことです。「ここは急いだほうがよい」「ここは次の点検まで様子を見ても差し支えない」と部位ごとに分けて伝えれば、お客様も費用を段階的に検討する準備ができるようになります。仮説①で見た費用への不安も、こうした全体像と優先順位を示すことで和らぐでしょう。

ステップ④ 選択肢と時期の目安を提案して、最終判断の材料を揃える

最後に取り組むのは、判断の選択肢を揃えて渡すことです。「いますぐ直す」「しばらく様子を見る」「次の点検であらためて判断する」の3つを、時期の目安とあわせて提案します。最終的に決めるのはお客様ですが、すべてを今すぐ直す前提で提案するのではなく、正しく判断できるように情報を提供する姿勢が、お客様へ客観的に聞き入れてもらえるための重要なポイントになります。

もし今回はメンテナンス提案を見送られても、判断材料を提供してくれる「相談できる相手」という存在になりやすくなるため、その場の受注だけでなく、長期的な信頼関係やOB顧客との継続的な接点づくりにもつながるのではないでしょうか。

また、10年目に住まいの状態を記録しておけば、次の提案ではその記録を根拠に、いつ、どの箇所を、どのようにメンテナンスするとよいかを具体的に示せます。根拠をもって提案してくれる会社は、お客様にとって住まいの経過を知っている相手でもあるため、継続的な相談先として選ばれやすくなり、将来のメンテナンス提案の機会を確保することにもつながります。

【Q&A】築10年超のメンテナンス提案に関する一般的な質問

ここまで、先送りの仮説と、客観データで伝える4つのステップを見てきました。最後に、実際に取り組む際によく挙がる疑問を、Q&A形式で整理します。

質問① 点検の案内は、築何年ごろから始めるのが一般的ですか?

正解はありませんが、10年間の瑕疵担保責任が切れる前後を、ひとつの目安にしてみてはいかがでしょうか。お客様にとっても、保証の節目は住まいを見直す動機が生まれやすいタイミングです。実際に、保証期間内の定期点検から接点を切らさずに続け、築10年前後で外装を重点的に確認する流れをつくっている会社もあります。

質問② 第三者検査と自社点検は何が違いますか?

第三者検査(既存住宅状況調査)は、国土交通大臣登録の講習を修了した建築士が、国の定める方法基準に従って行う調査で、確認方法や報告の形式が統一されています(※2)。一方、自社点検は、自社の担当者が自社で決めた項目や頻度で行う点検で、内容は会社ごとにさまざまです。つまり両者は「誰が・どの基準で調べるか」が異なります。

自社点検が不要になるという話ではありません。日常的な接点や応急対応は自社点検が、判断材料としての客観性は第三者検査がそれぞれ得意とする役割です。役割の違いとして捉え、目的に応じて使い分けることも検討してみてはいかがでしょうか。

※2 引用元:国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について

質問③ 検査報告書はどのように保管・活用すればよいですか?

報告書は、提案時の資料で終わらせず、住まいごとの建物履歴として保管しておくことがポイントになります。お客様ごとに住まいの情報を社内で蓄積していけば、次回点検の内容や時期を検討する際の比較基準になり、部位の状態変化を示せるようになります。

なお、住宅履歴情報を「登録した・する予定」と答えたリフォーム実施者は17.1%にとどまっています(※2)履歴の管理はまだ市場全体で定着しておらず、住まいの情報を整備し活用する履歴管理そのものが、他社との差別化につながるサービス提供になり得ます。

住まいの記録を残していくことで、建物の状態を根拠をもった説明ができるようになるため、お客様にとっては住まいの資産価値を維持していくことにもつながるでしょう。

メンテナンス提案の先送りを防ぐのは、説得ではなく客観データによる根拠の提示

築10年超の住まいでは、外装メンテナンスの必要性が高まる一方、お客様の内心にある費用や適正価格への不安から、提案は先送りされがちです。この状況を「断られている」のではなく「判断材料が足りていない」という視点で見直してみる価値は十分にあると考えています。

そして、築10年の時点で大切なのは、無理に工事へつなげることではなく、接点を持ち直して、住まいの状態を記録として残すことです。その記録があることで、次の提案では「いつ・どの箇所を・どのように」を根拠をもって説明できるようになります。根拠をもって提案してくれる会社こそ、お客様に選ばれていくのではないでしょうか。

ジャパンホームシールドでは、建物状況調査からメンテナンス工事までを代行する「建物サポートシステム ストック型」を、そうした選択肢のひとつとして用意しています。自社に合うかどうかを確かめる判断材料として、まずは資料をご覧いただければ幸いです。

Sasa-ell Next編集部
Sasa-ell Next編集部
Sasa-ell Next編集部のメンバーが、住宅から不動産まで役立つ情報を広く深く発信していきます!

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