
【連載記事】#03工務店が買取再販で利益を出すビジネスモデルとは
工務店が不動産事業へ参入する際に基本となるのは、主語を「当社は(私たちは)」ではなく「お客様は」に据えて考えることです。主語が「当社は」のままでは、これまでの経験や性能に対するあるべき姿が優先してしまう傾向があります。
前回のコラムでもお伝えした通り、「作り手がやりたいこと」が必ずしも「消費者が求めるもの」とは限りません。あくまで「お客様」を主語にして語ることで、「必要なこと」と「オーバースペック」になることを取捨選択できるようになります。
それでは、「工務店であることの優位性が活かせないのではないか・・・」と思われるかもしれません。しかし、実際にはその逆です。工務店でなければできないことがあるのです。今回は、工務店だから設計できる「買取再販」のビジネスモデルについてお話いたします。
工務店ならではの提案力
「買取再販」とは、そもそも「建売」の中古住宅版のようなものです。購入検討者にとってみれば、既に出来上がったイメージのつきやすい状態を見て購入判断をするのが「建売」で、購入の意思決定がしやすいというメリットがあります。一般的に、人間は視覚から捉える情報が圧倒的に行動を左右する場合が多いので、綺麗に出来上がった商品を見ると「欲しい」という感情が生まれます。できていないものを「想像」して購入するよりも容易とも言えるでしょう。
しかし、問題になるのが「買取再販事業者」の視点では、誰が買うかわからないという状態で改修を行うため、その結果として万人ウケする70点くらいの幅広い層に受け入れられる「標準的な商品」に落ち着きがちです。
これに対し、「当社なら100点満点の商品が作れる」と意気込んで「買取再販」事業に入り込んで来られる工務店もいらっしゃいますが、見落としがちなのはその物件を希望するお客様に出会えるか?という確率です。その物件を希望する一人のお客様を探すよりも、複数のお客様がいた方が契約に至る確率は格段に上がるのはお分かりでしょう。
そもそも「建売」にしても「買取再販」にしても、物件の場所は確定しています。不動産購入者にとって「価格」と同じかそれ以上に重要なのがその「立地」です。残念ながらスペックはその次になる場合がほとんどでしょう。つまり人気のない場所や人の流動性の少ない「立地」にどれだけ素晴らしいスペックの物件を供給しても購入者がいなければ、売れないのです。全ては「立地」からスタートし、そこの「立地」に見合う「価格」そして「スペック」と順番に組み立てていく必要があります。
統計が示す「未完成」のニーズ
では、工務店だからできる「買取再販」とは何でしょうか?
これは一にも二にも「提案力」です。一般社団法人不動産流通経営協会(通称「FRK」)で行った中古住宅購入者における調査によると、リフォーム済みの物件(買取再販物件)を購入した人のうち、購入時またはその後にリフォーム・リノベーションを行った人の割合は、中古戸建てで56.0%、中古マンションで44.7%に上り(※)、実に半数以上の人が「買取再販」物件に満足していない、あるいはもっと良くしたいと思っていることになります。
不動産会社の営業マンのほとんどは、綺麗になった物件を気に入って購入した購入者は、そのまま住んでいると思い込んでいます。購入時やその後のライフスタイルに寄り添った「暮らしの提案」まで行える会社は稀です。
購入希望者の100%を目指すのであれば、購入者と出会う前に「当社は(私たちは)」が主語の100%で施工することだけではなく、出会った購入者へ100%の「提案力」で勝負することができるのが工務店にしかできない強みの一つとなります。
工務店が買取再販で勝つための3つの指針
不動産会社にはない住宅の施工実績と提案力を活かし、お客様の夢を広げるためには、以下の視点で販売手法を検討することが有効です。
- エリアの見極め
その物件の「立地」の優位性を見極めて、性能向上やハイスペックなどのリノベーションが通じるか?また、それによって高くなる価格を支払えるような人がいるエリアかを見極めて施工内容を決定する。 - 標準仕様と提案の準備
エリアの見極めが難しいエリアでは、標準的な仕様と価格で仕上げる。ただし、購入検討者の要望に応えられる「提案の引き出し」を用意する。 - 「売り建て型」の検討
買い取った物件であっても、一定期間はいくつかのプランや仕様を準備し、「売り建て」や「注文住宅」のようにプラン付き販売を企画し、購入希望者が現れた時点で打ち合わせをして完成する販売手法も検討する。
以上、不動産会社にはない実績と「提案力」により購入者の夢を広げるためにも、主語を「お客様」に置き換え、工務店ならではの柔軟な幅広い提案力を活かす検討をしていただきたいと思います。それができるのは工務店であるからです。







