
瑕疵担保責任(契約不適合責任)とメーカー保証の違いは?判断基準や適切な確認手順
引き渡し後の住まいで万が一の不具合が起きたとき、住宅会社のご担当者は「これは自社が負う瑕疵担保責任(現:契約不適合責任)なのか、それとも建材や設備のメーカー保証で対応できるのか」を、発生原因から見極めることが重要になります。しかし、発生対象や責任の範囲を切り分けるのが難しいと感じる住宅会社も少なくありません。
そこで本記事では、瑕疵担保責任とメーカー保証の違いを整理したうえで、万が一の不具合が起きたときにどちらで対応するかの判断基準や適切な確認手順を解説していきます。
※本記事でいうメーカー保証は、給湯器やサッシ、外装材といった設備・建材をつくる製造者(メーカー)が、製品ごとに任意で付けている保証と定義します。
目次[非表示]
- 1.瑕疵担保責任とメーカー保証の3つの違い
- 2.万が一の不具合は、瑕疵担保責任とメーカー保証のどちらで対応する?
- 2.1.確認手順①発生箇所は構造・雨水浸入か?それ以外か?
- 2.2.確認手順②原因は施工によるものか?設備・建材自体によるものか?
- 2.3.確認手順③経過年数は対象期間内か?
- 2.4.確認手順④免責に該当しないか?
- 3.万が一の不具合の原因を正しく特定する3つのコツ
- 4.【Q&A】瑕疵担保責任とメーカー保証に関する一般的な質問
- 4.1.質問①施工不良か経年劣化か原因が判断できないとき、どう調査して判断すべきか?
- 4.2.質問②外壁のひびが防水に影響する深さかどうかは、何を基準に見極めるのか?
- 4.3.質問③雨漏りの発生源が構造躯体か設備かを特定できないとき、どこまで調べてから対応すべきか?
- 4.4.質問④メーカー保証期間はどのくらいですか?
- 5.原因を正しく見極めて、お客様への適切に対応へ
瑕疵担保責任とメーカー保証の3つの違い
瑕疵担保責任とメーカー保証は、どちらも「保証」という言葉で語られることが多いものの、そもそも同じ種類の仕組みではありません。瑕疵担保責任は住宅会社が法律にもとづいて「負う」責任であり、メーカー保証は製造者が製品に任意で「付ける」サービスです。
ここで整理する3つの違いは、「どちらが優れているか」「どちらを選ぶか」と比べるためのものではありません。いざ不具合が起きたときに「いま自社が向き合っているのは、どちらの話なのか」を見分けやすくする目的で、瑕疵担保責任とメーカー保証の違いを3つの視点から整理していきます。
違い①法律上の責任
1つ目は、法律上の責任の違いです。瑕疵担保責任は、新築住宅の売主や請負人が法律にもとづいて負う責任、つまり義務にあたります。住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)が、引き渡しから10年間はこの責任を負うように定めています。
一方、メーカー保証は、メーカーが製品ごとに任意で付けるサービスです。保証を付けるかどうかも、何をどこまで対象にするかもメーカーが決めています。
※2020年の民法改正により、民法上は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと呼び名が変わりました。
違い②対象部位
2つ目は、対象部位の違いです。瑕疵担保責任が対象とするのは、品確法が定めた「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」で、建物の重要な部位に絞られています。具体的には、基礎や柱、梁といった構造躯体や、屋根・外壁の防水に関わる部分が該当します。
一方、メーカー保証が対象とするのは、給湯器やサッシ、外装材といった製品・部材そのものです。住まい全体ではなく、製品ひとつひとつに対する保証と考えると分かりやすいでしょう。
つまり、瑕疵担保責任は建物の部位を、メーカー保証は製品そのものを対象としています。同じ不具合であっても、それを瑕疵担保責任の話として扱うのか、メーカー保証の話として扱うのかは、部位を見るか製品を見るかで異なってきます。
違い③対応内容
3つ目は、万が一不具合が見つかったときの対応内容の違いです。瑕疵担保責任では、住宅会社が法的な責任として、補修や損害賠償、契約不適合責任にもとづく追完請求など、法律に基づいて救済に応じることになります。
一方、メーカー保証では、メーカーが自社の規定にもとづいて、製品の修理や交換を行います。費用の負担も対応の範囲も、その規定によって決まってきます。
つまり、契約不適合責任とメーカー保証は、どちらか一方が優先されるものではなく、それぞれ根拠や対応範囲が異なる制度と整理しておくとよいでしょう。以上、3つの違いをまとめると、次のように整理できます。
視点 | 瑕疵担保責任(現:契約不適合責任) | メーカー保証 |
法律上の責任 | 住宅会社が法律にもとづいて負う責任(義務) | メーカーが製品に任意で付けるサービス |
対象部位 | 構造耐力上主要な部分/雨水の浸入を防止する部分(引渡しから10年) | 給湯器・サッシ・外装材など製品・部材そのもの |
対応内容 | 住宅会社が法律にもとづいて行う救済(補修・損害賠償・追完請求など) | メーカーが自社の規定にもとづいて行う修理・交換 |
※2020年の民法改正により、法律上の正式名称は「契約不適合責任」へと変わっているため、本来は設備や内装なども広く対象に含みます。しかし、実務上でメーカー保証との切り分けが特に重要となるのは、品確法(住宅品質確保法)で10年間の義務が定められている「構造」と「防水」の領域です。
そのため、本記事の比較表および以降の解説では、主に品確法にもとづく10年間の責任をベースに整理しています。
万が一の不具合は、瑕疵担保責任とメーカー保証のどちらで対応する?
3つの違いを整理しましたが、実際に万が一不具合が現場で起きると、瑕疵担保責任とメーカー保証どちらの対象に該当するか判断が難しいと感じるかもしれません。
そこでここでは、万が一が発生したときに、どちらの仕組みに該当するのかを見分ける確認手順について解説していきます。
確認手順①発生箇所は構造・雨水浸入か?それ以外か?
まず確認するのは、「不具合がどこで起きているのか?」です。発生した場所が「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」であれば、まずは瑕疵担保責任で対応できないかを検討します。これらの部位は、品確法が10年間の責任を定めている領域だからです。
反対に、設備や内装、建具など、それ以外の場所で起きている場合は、設備・建材のメーカー保証が対象として考えられます。たとえば、給湯器の不調であれば、構造でも雨水の浸入でもないため、まずはメーカー保証で対応できるかを確かめる流れになるでしょう。
確認手順②原因は施工によるものか?設備・建材自体によるものか?
次に確認するのは、「不具合が起きた原因は何なのか?」です。同じ場所の不具合でも、原因が施工の不備にあるのか、製品そのものの自然故障にあるのかで、最終的に費用を負う先が変わります。
原因の所在が施工の不備によるものであれば、自社の瑕疵担保責任や自社の保証で対応する領域だと考えられます。一方、原因が設備・建材の製品そのものの自然故障にあるなら、メーカー保証の範囲で修理・交換対応を依頼する流れになるでしょう。ここで原因の所在を明確にすることで、「誰が対応するのか」が整理しやすくなります。
なお、原因をどう見極めるかの具体的な進め方は、このあとの「万が一の不具合の原因を正しく特定する3つのコツ」で取り上げます。
確認手順③経過年数は対象期間内か?
次に確認するのは、「発生した問題の経過年数が、保証の対象期間内か?」です。品確法により、新築住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分については、引渡しから10年間の責任が義務付けられています。一方、メーカー保証は給湯器やサッシなど製品ごと・メーカーごとに対象期間が異なります。
たとえば、引渡しから数年たった住宅設備の不具合なら、瑕疵担保責任の期間内であっても、メーカー保証はもう切れていることも起こり得ます。期間内かどうかは、仕組みごとに分けて確かめておくことがポイントです。
確認手順④免責に該当しないか?
最後に確認するのが、「免責に該当しないか?」です。期間内であっても、経年劣化やメンテナンス不足、使い方の誤りが原因なら、保証の対象から外れることがあります。これらは製品や施工の不具合ではなく、使い方や手入れによるものだからです。
品確法が定める構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分に対する10年間の責任は、原則として契約で短くしたり免除したりできません。ただし、お施主様によるメンテナンス不足や、想定外の天変地異などが原因である場合は、法律上も住宅会社が責任を負わない(免責となる)ケースがあります。
免責が問題になるのは、そもそも不具合が瑕疵といえるのか、あるいはメーカー保証の規定の上で対象外なのか、などの場面です。
この最後の確認まで終えて、有償か無償か、そしてどこが対応するのかが判断しやすくなるでしょう。
万が一の不具合の原因を正しく特定する3つのコツ
先ほどの手順②でも触れたとおり、万が一の不具合の原因が施工か製品かを正しく見極めることで、そのあとの対応が変わります。とはいえ、現場では万が一の不具合の原因をつかむこと自体が難しいと感じる場面も、少なくないと思います。
そこでここでは、瑕疵担保責任とメーカー保証のどちらで対応するかを正しく判断するために、原因を特定する3つのコツを解説していきます。
コツ①症状ではなく、発生の仕方から原因を絞り込む
1つ目は、出ている症状そのものではなく、どのように起きたのかの「発生の仕方」から原因を絞り込むことです。雨漏りやひび割れは、症状が見える場所と、本当の原因がある場所がずれていることが多いためです。表面に見えるものをそのまま原因と決めてしまうと、対応する側を取り違えてしまうおそれがあります。
たとえば、天井に出たシミであっても、実際に水が入っているのは離れた外壁や窓まわりだった、ということは珍しくありません。水や亀裂がどの向きから、どのように伝わってきたのかをたどり、原因のある場所を探していきます。
発生した場所が構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分にあたるかどうかが、まず瑕疵担保責任の対象かを分けます。症状の位置だけでなく、どのように起きたのかまで観察できているかどうかが、見極めの確かさを左右すると考えられます。
コツ②現物ではなく、図面・施工記録と照らして原因を確かめる
2つ目は、目の前の現物だけで判断せず、図面や施工記録と照らし合わせて原因を確かめることです。同じ部位の不具合でも、施工の納まりに原因があるのか、設備・建材という製品そのものに原因があるのかで、対応する側は変わってきます。現場の状態を見るだけでは、施工のときにどう収めたのか、どの製品が使われていたのかまでは読み取りにくいためです。
そこで、竣工時の図面や施工記録と、いまの現場の状態を突き合わせていくと、原因のありかをより確かに見極められます。ここが「自社の瑕疵担保責任で対応するのか、メーカー保証へ求償するのか」の分かれ目です。図面や施工記録と現場をきちんと照らし合わせられているかどうかが、求償する先を見誤らないための判断材料になると考えられます。
コツ③見た目ではなく、発生時期と使用状況から経年劣化を見極める
3つ目は、「発生時期と使用状況から経年劣化かどうかを見極めること」です。期間内に起きた不具合であっても、原因が経年劣化やメンテナンス不足にある場合は、保証対象外になるためです。古く見えるかどうかの外観だけでは、経年劣化を正しく分けることは難しいでしょう。
たとえば、「定期的な手入れが行われていたか?」「想定していない使い方がされていないか?」などの視点も、原因を正しく判断する際に役立ちます。起きた時期と使い方、さらに日頃の点検やメンテナンスの状況まで正しく確認できると、原因を特定しやすくなります。
【Q&A】瑕疵担保責任とメーカー保証に関する一般的な質問
ここまで、瑕疵担保責任とメーカー保証の違いから、事故発生時の判断手順、そして原因を特定するコツまでを解説してきました。とはいえ、手順に沿って進めても、現場では判断に迷う場面が出てくるのではないでしょうか。
ここでは、住宅会社からよくいただく一般的なご質問を、Q&A形式で整理していきます。
質問①施工不良か経年劣化か原因が判断できないとき、どう調査して判断すべきか?
原因を切り分ける際は、症状の見た目ではなく、どのような仕組みで起きたのかから判断することがポイントです。なぜなら、同じひび割れや剥離でも、施工時の納まりや材料の不備で起きたものと、年数を重ねて材料が縮んだり傷んだりして起きたものとでは、発生する場所や向きも進み方も異なるためです。
もし目視だけでは判断できないときは、図面や施工記録と照合したり、不具合が出ている範囲を確認した上で、必要に応じて壊さずに内部を調べる調査などを組み合わせることも試してみてはいかがでしょうか。プロの第三者に建物の状況を調べてもらうと、客観的な根拠に基づいてお施主様への説明もできるようになります。
質問②外壁のひびが防水に影響する深さかどうかは、何を基準に見極めるのか?
表面に見えているかではなく、「防水の層まで達して雨水の通り道になっているかどうか?」で決まります。一般にヘアークラック(おおむね幅0.3mm未満が目安とされる)と呼ばれる表面のひびと、構造や防水に関わる深いひびとでは、対応が変わるからです。
適切に見極めるためには、ひびの幅や深さ、進み具合に加え、貫通の有無や下地への到達を確認することが求められます。
質問③雨漏りの発生源が構造躯体か設備かを特定できないとき、どこまで調べてから対応すべきか?
雨漏りは、室内で症状が出ている場所と、実際に水が入っている場所が一致しないことが多いため、発生源を見つけるには順を追って調べていくことが重要になります。
まずは目視と、起きている状況についてのお施主様への聞き取りから仮説を立て、そのうえで散水によって浸入の経路を再現し、必要に応じて赤外線で水の含み具合を確かめることも有効だと考えられます。こうして調べていくと、屋根や外壁、開口部まわりといった構造側か、給湯や配管、サッシといった製品側かを切り分けられます。
質問④メーカー保証期間はどのくらいですか?
メーカー保証期間は製品によって異なります。
一般的な住宅設備機器では1〜2年程度が多く、外壁材や屋根材などの建材では10年以上の保証が設定されている場合もあります。ただし、保証の対象範囲や免責事項もメーカーごとに異なるため、期間だけでなく保証内容まで確認することが重要です。
原因を正しく見極めて、お客様への適切に対応へ
瑕疵担保責任とメーカー保証は、住まいに関わる点では共通していても、一方は法律にもとづいて負う責任、もう一方はメーカーが任意で付けるサービスと、そもそも性質の異なるものです。
だからこそ、お客様から万が一の不具合のご連絡を受けたときは、どちらが優れているかではなく、適切な確認手順に沿って原因を特定していくことがまず大切ではないでしょうか。
今回ご紹介した瑕疵担保責任とメーカー保証の違いと確認手順、コツが、万が一の原因を特定するために少しでもお役に立てれば幸いです。






