
【連載記事】#04物件を「買える会社」になるための仕入れ戦略
「不動産買取」に参入した建設業者さんから一番聞かれるのが、今回のテーマでもある「なかなか物件が買えないんだけど、どうしたら仕入れられるの?」という切実なものです。
「不動産買取」で収益を出すためには、もちろん「企画力」や「施工力」も必要ですし、「販売力」も重要です。しかし、どんなに優れた施工力や提案力があっても、最初の「仕入れ」ありきであることは紛れもない事実です。
では、実際に「仕入れ」を数多くできている会社はどのようにして情報を集めているのでしょうか。今回は、建設業者ならではの強みを活かし、物件を「買える会社」へ脱却するための仕入れ戦略を詳しく解説します。
「仕入れ」ルートにはどんな種類があるのか
そもそも仕入れる物件は、市場価格よりも安くなければなりません。最近は不動産価格の高騰で仕入れ価格も高騰し、いわゆるエンド価格つまり市場で売買されるような金額で購入する業者もいますが、そういう業者はあくまでも年間かなりの件数を仕入れ、利益の出る現場や出ない現場をアベレージしていく中で利益を確保するビジネスモデルですので、そうした業者と競争することはお勧めできません。
さて、「仕入れ」とは当然ながら、情報が来なければ始まりません。その情報源はどこからくるのか。と言えば、ほとんどが「所有者から直接依頼(相談)」か「所有者から情報を預かっている不動産会社」のどちらかになります。他にも「競売」入札などの手法はありますが、また別のノウハウが必要となります。
仕入れ戦略の前提となる「2つの設定」
私はいつも「仕入れ」を数多くしたいという業者さんに必ず聞くことがあります。
それは1年間の「仕入れ」目標件数、そして収益ポイント、の2つです。
例えば、あくまで建設業が圧倒的なメインであり、不動産買取はあくまでも業績補完として(将来に向けた準備的な期間)社員も充足せずに行うような場合は、1物件1物件の収益にこだわることが必要ですので無理に件数を追う必要はありませんが、1年間で10物件、20物件という目標を設定しているのであれば「仕入れ」ルートを広く持つ必要があります。
収益性を優先すれば「所有者から直接依頼(相談)」されることがベストです。なぜならこの場合は他社と競合する可能性が低いからです。知人からの紹介や、その地域でみなさまの会社を既に知っている方、またOB顧客のような信頼関係が構築できている方からの依頼などは理想です。しかし、このルートでの「仕入れ」は理想ではありつつも数多くの情報が頻繁に持ち込まれるのは稀でしょう。テレビCMをやっているような会社でなければ案件数には限りがあります。
通常、家や土地を売りたいと考えるお客様は不動産会社を訪ねます。従いまして売り物件情報は普段から不動産広告をたくさんしている会社に多く集まります。その最たるものが大手不動産会社でしょう。
「買取再販」会社がやっている営業手法
私は、現在の会社でも「買取再販」を行なっていますが、特に前職は1年間に数100棟の買取りを行なっている会社の役員でした。ここで、「買取再販」を数多く行なっている不動産会社が何をやっているのかご紹介します。
大手が徹底する「2つの営業手法
【手法①同業者への頻繁な訪問と人脈作り】
大手不動産会社をはじめ、不動産売買を行なっている同業者に頻繁に訪問して人脈作りをします。これは種まきです。「当社は積極的に買取していますので情報があったらぜひ連絡してください」と、名刺を渡して回ったり、メールしたり電話したりします。
【手法② レインズの監視とスピードアプローチ】
業者間の物件情報公開システム「レインズ(不動産流通標準情報システム)」に張りつき、新しい物件が登録されると真っ先に電話して「買取りできないか」「価格が少し下がらないか?」とアプローチする。
この他にも細かい手法がありますが、基本はこの2つを徹底的にやります。前職ではこのために相当数の人数を採用していました。ちなみに、このやり方は今の時代もほぼ変わりません。当社にも①のような飛び込み営業がきますし、②の電話は毎日のようにかかってきます。この現実が良いか悪いかという議論はさておき、今もなおアナログな業界なのです。
「買取物件」を紹介する立場で考える
さて、皆さんが既に買取再販に着手している場合、数件の情報は持ち込まれたことがあると思います。その多くの情報は収支上合わないために断っているのではないでしょうか。ここで、情報を持ち込んだ側の立場で考えてみます。持ち込む側にとっては「どこに買ってもらうか?」には優先順位があります。
【不動産会社が持ち込み先を選ぶ「4つの優先順位」】
① 高く買ってくれる(売主に値引き交渉をしなくて済むため一番ありがたい)
② 仲が良い(日頃からの関係性・信頼感がある)
③いつも営業にくる(顔や名前がすぐ思い浮かぶ)
④高く買いそう(相場を知らない・建設業者などの足元を見る)
「仕入れ」物件には必ず所有者がいますので、売却理由は様々にせよ任されている会社や担当者にとって大きな値引きは言いづらいものです。従いまして一番有り難いのは①の高く買ってくれる会社です。しかし、買い取る会社にとってはこれも難しい。したがって②になるために③の営業行為を繰り返すわけです。
また、④には注意が必要です。買取会社の足元を見ているからです。例えば、土地勘のない業者に紹介するというものです。物件の所在する地域と遠い会社なので、相場をわかっていない会社に敢えて持ち込むことがあります。または、建設業などの不動産の分野にあまり精通していなさそうな会社を狙い、上手い話を持ちかけて高く買わせる。というものです。
建設業者でしかできない「仕入れ」手法
そこで、建設業者にしかできない「仕入れ」のやり方を紹介します。
先ほど、私が「仕入れ」を数多くしたいという業者さんに必ず聞く2つのことをお伝えしました。
① 1年間の「仕入れ」目標件数、そして②収益ポイントです。
ここで②の収益ポイントが肝となります。これは「単体の買取再販だけで収益を考えない」というものです。そんなのは無理だと思われるでしょうけれど、情報を紹介してくれる不動産会社と親しくなるためには、最初は多少高くても買うことも必要です。しかし、高く買ったら損をする・・・もちろん損するほどの高値買取はNGです。ただ、建設業者は買取した物件が完成した後に「ショールーム化(モデルハウス)」することができます。
そこで別の集客(新築やリフォームの受注)ができます。その部分で収益を出す方法です。できれば、その集客がしやすい視認性の高い立地なら、少し高い仕入れでも元は取れます。
「仕入れ実績」が次の優良物件情報を呼び込む
経営者向けまとめ
物件仕入れの壁を突破する鍵は、「仕入れ単体で儲けようとしないこと」にあります。建設業としての強みを活かし、買取物件をショールーム化して本業の集客・収益へと繋げる。このトータル収益モデルこそが、大手不動産会社には真似できない建設業者ならではの必勝パターンです。
- 次回予告(#05)買取判断で失敗しないための「簡易査定フロー」
次回は、査定の属人化による失敗を防ぎ、判断基準を標準化する「簡易査定フロー」を解説。リスクを回避し確実に利益を出す仕組みづくりを、実務で使えるよう詳しく解説します。どうぞお楽しみに!







