
住宅10年保証の延長費用や提案の判断基準は?長期保証との違いも解説
「住宅10年保証の延長費用は、いくらが相場なのか?」
「お客様への説明前に、まず自分が正確に把握しておきたい」
そう感じている住宅会社の営業担当の方も多いのではないでしょうか。
一方で近年は、新築引き渡し時点から20年保証をパッケージで付帯する「初期20年長期保証」という選択肢も普及が進んでいます。住宅保証の延長型と初期20年型では、費用の発生タイミングも総額も異なるため、「どちらをどのお客様に提案すべきか」の判断基準を持っておくことも重要な考え方でしょう。
そこで本記事では、住宅10年保証の延長費用の内訳と相場、初期20年保証との費用構造の違い、そして提案時に活用できる2つの判断基準を整理しました。費用の全体像を把握し、お客様が納得できる説明へとつなげるための参考としてご活用ください。
住宅10年保証を延長する場合の費用総額はいくら?
初期10年型を選択した場合、あるいは既に引き渡し済みの既築物件において、保証をさらに5年、10年と延長する場合、どのような費用が発生するのでしょうか。お客様に説明する際、不透明になりがちな「延長費用の内訳」を整理します。
延長保証料と第三者点検費用の相場
延長保証(保険)を継続するためには、まず「建物の健康状態」を確認しなければなりません。
対象 | 費用相場 |
延長保証料(保険料) | 5年または10年の延長期間に対して支払われます。一般的には5万円〜10万円程度が目安ですが、これは「将来の万が一の事故(構造欠陥や雨漏り)に対する共済金」としての性質を持ちます。 |
第三者機関による点検・検査費用 | 住宅会社による自主点検ではなく、客観的な立場からの検査が条件となります。費用は数万円〜10万円程度。近年では、屋根点検にドローンを活用したり、赤外線サーモグラフィを用いて外壁診断を行ったりする手法も一般化しており、お客様に対して「精度の高い健康診断」として付加価値を提示することが可能です。 |
このように延長保証を継続する際は、延長保証と第三者機関による点検・検査それぞれに数万〜10万円の費用が発生しています。
保証延長に必要なメンテナンス費用
保証延長の「前提条件」として最も大きなウェイトを占めるのが、メンテナンス工事です。保険法人や保証会社は、専門の建築士による検査(瑕疵保険適合検査)に合格した住宅でなければ保証を引き受けることができません。
10年目に行われる一般的な工事の費用感は以下の通りです。
工事の種類 | 費用感 |
防蟻(シロアリ予防) | 20万〜40万円 |
バルコニー防水工事 | 10万〜30万円 |
外壁塗装・屋根修繕 | 80万〜150万円 |
合計目安 | 110万円〜220万円 |
この金額を提示された際、多くのお客様は「保証を延ばすためにこれほど払わなければならないのか」と、想定より高いと感じられるお客様も少なくありません。
しかし、ここが住宅会社として、プロの視点を付加価値として提示できる場面の一つではないでしょうか。これらは「保証を延ばすためのコスト」ではなく、住まいの耐久性を維持し将来の高額な建て替え・改修リスクを低減するための「未来の安心」という視点でお客様に説明する住宅会社もあります。
長期保証と何が違う?10年保証との費用の違いと費用
住宅瑕疵担保履行法に基づき、すべての新築住宅に義務付けられている「資力確保措置」。これまで多くの住宅会社にとって、瑕疵保険は「初期10年間」が標準的なパッケージでした。
一方で、住宅の長寿命化やストック市場の拡大を背景に、民間保証会社による初期20年間の長期保証サービスを導入する住宅会社が増えています。
初期10年は法定制度、10年以降はお施主様に選択して頂き要望があった際に必要なメンテナンス工事を実施して保険を延長するという「初期段階から20年保証のパッケージ」が主流になりつつあります。
初期20年間の長期保証とは
近年登場している民間の「初期20年間の長期保証」は、住宅会社と施主双方の負担を軽減する設計が特徴です。
従来の10年瑕疵保険スキームと何が違うのか。その本質は、「10年目のプロセスの簡略化」にあります。これまでの10年瑕疵保険では、期間が満了するタイミングで保険を継続しようとすると、以下の「3つの壁」が存在していました。
保険継続の負担 | 概要 |
|---|---|
事務的負担 | 保険再加入の手続きと、それに伴う契約書類の再整備。 |
物理的・時間的負担 | 第三者機関による現場検査の再実施。 |
経済的負担 | 保険料の支払いと、検査で指摘された箇所の必須メンテナンス工事。 |
新しく登場した初期20年間の長期保証では、10年経過時の手続きを簡素化し20年保証運営会社による第三者点検という運用が組み込まれています。
これにより、住宅会社は10年目という節目の時期に、過剰な事務作業に追われることなく、お客様とのコミュニケーション(点検やライフスタイルの相談)に注力できる環境が整います。
長期保証の導入費用の目安
初期費用と将来の更新費用のバランスをどう捉えるか、各社の事業戦略によって判断が分かれるポイントです。初期20年保証を選択する場合、気になるのはそのコストパフォーマンスです。
種類 | 費用 |
|---|---|
従来の10年瑕疵保険 | 約6万円〜13万円程度(プランや床面積による) |
初期20年間の長期保証 | 約20万円前後(事業者事務手数料込) |
上記は目安の価格ですが、単純計算でも約1.5倍〜2倍程度の価格差があります。
しかし、ここで重要となるのは「トータルコスト」という視点です。 従来の10年保険で20年までの保証を延長する場合、10年目の再加入時に「延長保険料(約5〜10万円)」と「検査費用(数万円)」、さらに「指摘箇所の必須メンテナンス費用」が別途発生します。
これらを合算すると、実は初期段階で20年型を付帯させておく方が、事務手数料や検査料の重複を抑えられ、総額としてはコストを抑えられるケースが多いのです。
住宅会社としては、初期コストを抑えて引き渡し価格を低く見せるのか、あるいは「20年間の安心」という付加価値を最初からパッケージ化して信頼を勝ち取るのか。ブランド戦略に関わる一つの選択になりえます。
初期20年保証を提案している会社の判断基準
では、住宅会社はどのような基準で、保証延長をお客様へ提案すればいいでしょうか。
基準①ストック需要の獲得を計画しているかどうか
1つ目は「ストック需要の獲得」の視点です。
日本の住宅市場の需要は、新築住宅からストック住宅へ比重が移りつつあります。お客様が長く住み続ける傾向が高まる中、自社が建てた住宅を「長期にわたって保証がついている物件」として販売することは、ストック需要の獲得を考慮した提案として有効ではないでしょうか。
住宅会社向けに実施したJHSのアンケート調査では、住宅会社の80.9%がすでに初期20年保証を利用していると回答しており、保証の長期化は業界標準としての定着が進んでいます。
さらに、63.2%の住宅会社が「保証期間は最長60年まで対応したい」と回答していることから、長期ストックに向けた保証戦略の重要性が年々高まっていることが伺えます。(※1)
ストック需要の獲得を視野に入れる住宅会社にとって、長期保証付きの住宅を販売することは、将来の売却・継承時においてもプラスの評価要素になり、「保証が続いている住宅をつくる会社」として、ブランド形成が期待できるでしょう。
ぜひ保証延長を提案する際は、ストック需要の獲得を一度考えてみてはいかがでしょうか。
※1引用元:ジャパンホームシールド株式会社(建物長期保証アンケート)2025年7月
基準②長期間価値を維持する住宅として提案したいかどうか
2つ目は「住宅の長期価値維持」という視点です。
長期保証を継続するためには、定期的な点検や適切なメンテナンスが欠かせません。しかし、JHSのアンケート調査によれば、10年・20年点検時における最大の課題として「人材不足」を挙げた住宅会社は73.5%でした。
また、92.6%の住宅会社が「建物長期保証の長期化に懸念を感じている」と回答していることから、長期保証の維持・運用は容易ではないことが現場の実態として見受けられます。(※1)
こうした人手不足の課題があるにもかかわらず、長期保証の必要性が広く認識されているのはなぜでしょうか。それは、長期保証を維持することが、住宅品質を証明する手段だからです。
自社の住宅を「長期間にわたって価値を維持する商品」として提案したい住宅会社にとって、点検やメンテナンス体制も付帯した長期保証があると、人手不足の課題も解決できます。
したがい保証提案の際は、人手不足に関係なく、長期間価値を維持する住宅として提案できる前提で検討してみてはいかがでしょうか。
住宅保証戦略で差がつく時代に
住宅の保証とメンテナンスを巡る費用は、単なる「出費」ではありません。それは、住宅会社が提供した作品(住まい)の品質を証明し続け、お客様との接点を生涯にわたって維持し続けるための「仕組み」そのものです。
- 初期20年保険を選択し、最初から長期的な安心をブランドの武器にする。
- 10年ごとの延長提案を丁寧に行い、リフォームや点検の接点を大切にする。
- 外部サービスを活用し、点検代行から長期保証までを一体化して、自社リソースを最適化する。
どの選択肢が適切かは各社のビジネスモデルやアフター部門の体制によって異なります。しかし共通して言えるのは、住宅会社が「保証」という目に見えにくい価値を、いかに分かりやすく、かつ論理的にお客様へ届けられるかが、今後のアフター戦略を考える上での一つの視点になると考えられます。
本記事で整理した費用と制度の視点が、貴社らしい住まいづくりの判断材料となり、結果として「この会社を選んでよかった」というお客様の笑顔につながることを願っています。
長期保証の導入やアフター体制の構築、点検の効率化にお悩みの住宅会社様へ。ジャパンホームシールドでは、地盤から建物まで、貴社の「守りの戦略」をトータルでサポートするソリューションを提供しています。具体的な導入事例やシミュレーションについては、お気軽にお問い合わせください。






