
住宅設備10年保証はお客様に必要か?住宅会社の3つの視点
住宅設備10年保証(延長保証)をお客様へ提案する際、「この方には本当に必要なのだろうか?」「提案しても響かないのでは?」と、提案に迷っている営業担当の方もいるのではないでしょうか。お客様によってライフプランや価値観は異なるため、住宅設備10年保証に対する価値の感じ方も異なるでしょう。
しかし一方で、ジャパンホームシールド社(以降、JHS)の独自調査結果から、引き渡し後10年以内でも給湯器やキッチンのトラブルが発生する事例とその修理金額の傾向が見えてきました。また、お客様の住宅設備10年保証に対する認識を調べていくと、住宅会社の認識との違いも分かってきました。
そこで本記事では、「お客様が住宅設備10年保証の必要性についてどう考えているのか?」「価値を感じてくれるお客様とそうでないお客様は、それぞれどんな特徴があるのか?」についてご紹介します。お客様全員へ提案するのではなく、お客様の状況やご意向に合わせて対応する意識で、本記事の内容をぜひご活用いただけると嬉しいです。
住宅設備10年保証(延長保証)が不要と思われる3つの理由
営業担当が提案をためらってしまう背景には、お客様の中には10年間の設備保証が不要だと思っている人もいると考えているからでしょう。しかし、お客様の住宅設備10年保証に対する認識を調査していくと、仕組みへの誤解や、将来的な修理・交換費用の実態について理解が十分でないことが背景にあるようです。
ここでは、住宅設備10年保証が不要と思われがちな主な3つの理由と、その背景にある認識の違いを整理します。
理由①「1〜2年のメーカー保証で十分」と考えているから
まず1つ目は、「1〜2年のメーカー保証で十分だ」と考えていることです。開発技術の進歩により住宅設備の品質は近年向上しており、引き渡し後10年以内に大きな故障が発生しないケースもゼロではないでしょう。
そうした背景から、メーカー保証をわざわざ延長するサービスに対してお客様は「本当に10年も設備保証は必要なのか?」と疑問を持っていると考えられます。
理由②「自分で修理または買い替えればいい」と考えているから
2つ目は、「壊れたときに自分で修理か買い替えをすればいい」と考えていることです。「わざわざ保証料を先払いするよりも、実際に問題が起きてから対処すれば問題ない」と合理的に判断している意味で、この考え方はお客様として自然でしょう。
理由③「火災保険の特約で代替できるのでは?」と考えているから
3つ目は、「火災保険に住宅設備の特約をつければ代替できるのでは?」と考えていることです。火災保険の電気的・機械的事故特約は、設備の故障に対して保険金が支払われるケースがあるため、「すでに特約に加入しているから10年間の設備保証は必要ない」という結論に至るお客様は一定数います(※1)。
ただし、特約には免責金額が設定されていることが多く、修理費用の全額がカバーされるわけではありません。また、特約の補償範囲や対象設備は保険商品によって異なり、すべての住宅設備が自動的にカバーされるとは限りません。加えて、保険を使うことで翌年の保険料に影響が出る可能性についても、お客様が事前に把握していないことがあります。
こうした理由からも、10年間の設備保証がなくても大きな問題はないと考えているお客様が一定いることが分かります。
※1引用元:損保ジャパン「火災保険にセットできる主な特約(オプション)」
【JHS独自調査】住宅設備の不具合が発生しやすい時期と費用相場
住宅設備は精密な部品や消耗部材を含むため、使用年数の経過とともに、どうしても経年劣化や摩耗が進んでいきます。JHSの調査結果からも、設備の不具合は一定の使用年数を迎えた頃に発生が増える傾向が見られました。
そこでここでは、JHSの調査結果をもとに、住宅設備の不具合が発生しやすい時期と主要設備の費用相場を整理します。
購入後7〜8年過ぎに不具合が最も発生する
住宅設備の不具合は引渡しから7〜8年が経過した頃に最も多く発生する傾向が確認されています(※2)。これは、日常的な使用による負荷が蓄積し、部品の摩耗や性能低下が表面化しやすくなる時期であることが考えられます。
引き渡し後7〜8年は、住宅ローンの元金が残り、子どもの教育費が増える時期としても、お客様の家計にとって一つの山場ともいえるのではないでしょうか。先ほど理由として出てきた「壊れたらその時に対応すればいい」も、一見合理的に見えても、出費がかさむタイミングで不具合が生じた場合、想定以上の費用負担になるリスクがあるといえます。
※2引用元:JHS調べ
【設備別】修理費用の相場
では実際に、住宅設備の修理にいくら費用がかかるのでしょうか。設備の種類やメーカー、不具合の症状によって費用は異なりますが、ジャパンホームシールドの修理実績をもとにした費用の目安としてご紹介します。
設備 | 不具合例 | 修理費用相場 |
|---|---|---|
キッチン | ・IHヒーター動作不良(基盤・加熱コイル交換) ・食洗機運転ボタン動作不良(基盤・スイッチ交換) | ・55,000円 ・35,000円 |
浴室乾燥機 | ・温風が出ない(モーター・基盤交換) ・異音(モーター交換) | ・60,000円 ・45,000円 |
トイレ | ・便座が温まらない(基盤交換) ・リモコン動作不良(基盤交換) | ・25,000円 ・20,000円 |
給湯器 | ・お湯が出ない(ヒートポンプユニット修理、基盤交換) | ・120,000円 |
洗面所 | ・レバーハンドルの操作が重い(部品交換) ・混合水栓の温度調節ができない(部品交換) | ・20,000円 ・15,000円 |
1件あたりの修理費用を見ると、「それほど高くないのでは?」とお客様は感じるかもしれません。しかし先述したように、複数設備の不具合が同時期に発生してしまうと、合計で数十万円を超える出費も十分に考えられます。
この修理費用の相場から、「不具合が発生したタイミングで対応する」と考えるお客様の想定を上回る出費額になってしまうかもしれません。
住宅設備10年保証に価値を感じるお客様の特徴3選
住宅設備の不具合が発生しやすい時期と修理費用の相場をご紹介しましたが、これらの説明だけでは、まだお客様が納得する理由にはなりえません。新築時に住宅設備10年保証を提案する際は、価値を感じるお客様とそうではないお客様がいることを理解することも押さえておきたいポイントでしょう。
そこでここでは、私たちが考える住宅設備10年保証に価値を感じるお客様について、3つの特徴からご紹介します。
特徴①高額設備を導入している
1つ目は、高額設備を導入しているお客様です。エコキュートや空調など、交換コストが高い設備を導入しているお客様にとっては、設備の交換費用が高くなるほど、支払う設備保証料の費用対効果が高くなると期待できるでしょう。
たとえば、20万円以上の価格が一般的なエコキュートを導入している場合、住宅設備10年保証の保証料金が仮に10万円なら、不具合が発生しても10万円以上の出費を抑えることができます。※保証条件を満たす故障内容の場合に限る
もしお客様が高額設備を導入していない場合は、費用対効果の観点よりも、他設備の不具合が発生する「想定以上の出費が重なるケース」を踏まえて提案している住宅会社もいらっしゃいます。
特徴②設備ごとにメーカーが異なる
2つ目は、設備ごとにメーカーが異なる場合です。キッチン・バス・トイレ・給湯器でそれぞれ異なるメーカーを採用していると、不具合が発生した際の問い合わせ先が複数に分散してしまいます。各メーカーのサポートセンターを個別に調べて連絡していると、日中の対応が難しい共働き世帯や、機器の管理に不慣れなお客様にとっては大きな負担になるかもしれません。
一方で住宅設備10年保証なら、設備ごとにメーカーが異なる場合でも各種設備の問い合わせ窓口を保証会社に一本化することができます。したがって、各種設備で不具合が発生しても同一の保証会社が取り次いでくれるので、それぞれのメーカーに連絡して確認する手間が省けるというわけです。
このように、お客様が複数メーカーの設備を導入している場合、問い合わせ先の窓口一本化は手間が省ける点で、提案の切り口として使えると考えられます。
特徴③不具合の発生時期の重なりに対して、高額出費への不安がある
3つ目は、高額出費への不安を持っている場合です。住宅ローンの返済や、子育て・教育費、リフォームなどが重なる時期に設備の不具合が発生してしまうと、家計への影響がより大きくなってしまいます。
火災保険の電気的・機械的事故特約で部分的に補えるケースもありますが、特約には自己負担が設定されている場合が多いため、修理費用の全額をカバーしてくれるわけではありません。保険を使うと翌年の保険料に影響が出ることも含めると、「特約があるから安心」とは一概に言い切れないというわけです。
したがって、将来のライフステージを見据えて突発的な高額出費に不安を感じるお客様には、安心して高額出費を抑えられる手段の一つとして住宅設備10年保証を提案すると、価値を感じてもらえることが期待できます。
住宅設備10年保証に価値を感じないお客様の特徴2選
このように、住宅設備10年保証に価値を感じるお客様がいる一方で、状況によっては価値に感じないお客様もいるでしょう。
ここでは、住宅設備10年保証に価値を感じないお客様の特徴を2つご紹介します。
①高額設備の導入がなく出費リスクが限定的
1つ目は、高額設備を導入していないお客様です。
たとえば、ガス給湯器が本体価格の比較的低い機種で、エコキュートや全館空調・ビルトイン食洗機なども採用していない場合、10年間で発生しうる修理・交換費用は大きくはないと推測できます。つまり、見込まれる出費額に対する保証料が高いと感じてしまうと、費用対効果の観点でお客様が導入するメリットが薄れてしまうともいえます。
結果、お客様への訴求メリットが弱まり、魅力的に感じない提案になってしまうことも十分に考えられます。
②保証料の支払いより貯蓄を優先する
2つ目は、保証料の支払いより貯蓄を優先する場合です。堅実に毎月少しずつ貯蓄する意向を持つお客様には、先払いして将来の高額出費に備える発想より、自分で積み立てをして確実に支払える貯蓄をつくることを選択する傾向が高いかもしれません。
この場合、強引に住宅設備10年保証を勧めるよりも、住宅設備の不具合が集中するタイミングと費用の目安を踏まえた積立額のアドバイスをするほうが、お客様に寄り添った提案になり得ます。お客様と長期的な信頼関係を作る意味でも、価値を感じていないお客様へ、強引に提案するのではなく提案を見送る選択をすることも重要だと考えます。
【一問一答】一般的な住宅設備10年保証に関するよくある質問
ここまで、住宅設備10年保証の必要性や不要と言われる理由、そして住宅設備10年保証に価値を感じるお客様とそうでないお客様の特徴をご紹介してきました。
この説明に対して、住宅会社からよく聞かれる質問があります。ここでは、よくある質問に対する回答として、Q&A形式でご紹介します。
質問①設備メーカーの保証と住宅設備10年保証の主な違いは?
主に以下4つの点で違います。
項目 | 設備メーカー保証 | 住宅設備10年保証 |
|---|---|---|
提供会社 | 住宅設備メーカー | 保証会社など |
保証期間 | 通常1~2年間 | 5~10年間 |
費用 | 無料 | 保証料や初期費用 |
契約窓口 | 設備メーカーごとに異なる | 1つ(窓口1本化) |
メーカー保証は製品に付帯する保証であり、費用は無料で保証期間は通常1〜2年です。設備ごとに問い合わせ先が異なるため、複数の設備を持つ場合はメーカーごとに個別対応が必要になります。
一方、住宅設備10年保証は有料の延長保証サービスであり、最長10年間をカバーします。契約窓口は保証会社に一元化されるため、複数設備のトラブルでも一本の連絡で対応できる点が大きな違いといえます。
なお、補償の前提となる条件はメーカー保証・延長保証ともに共通して存在します。どちらも「すべての故障をカバーするものではない」と事前にお客様へ伝えておくことが、後の行き違いを防ぐ一つの視点になります。
質問②お客様が住宅を売却・相続した場合、保証は継承されますか?
保証の継承に対応しているかどうかは、保証会社によって異なります。たとえばJHSの住宅設備10年保証は、売買・相続時の名義変更に対応しており、次のオーナーへの保証継承が可能です。
一方で、すべての保証会社が継承に対応しているわけではないため、住宅設備10年保証を導入予定のお客様が売却や相続を検討している場合は、事前に確認しておくといいでしょう。
質問③設備が故障した場合、住宅会社に費用負担は発生しますか?
故障の受付から修理手配・費用負担まで保証会社が担うため、通常は住宅会社に修理費用の直接負担は発生しません。お客様から故障の連絡を受けた場合も、保証会社の窓口を案内することで対応が完結します。
ただし、保証が適用されないケースでお客様から「どこに相談すればいいか」という問い合わせが来ることはあります。こうした場面でもスムーズに回答できるよう、保証の対象・対象外をあらかじめ把握しておく事も重要だと考えます。
お客様に応じて住宅設備10年保証の提案を判断しましょう
住宅設備10年保証の必要性に対して、一律に答えを出すことはできません。お客様の導入設備やライフステージなどによって、住宅設備10年保証の導入価値は変わるからです。
それよりも重要なのは、住宅設備10年保証に価値を感じるお客様とそうでないお客様がいることを前提に、お客様のご状況とご要望にあわせて最適な提案をすることだと考えています。
住宅設備10年保証をお客様との接点を維持するための一つの手段として捉えている会社も増えているので、ぜひお客様のご状況とご要望をお伺いした上でご提案するのはいかがでしょうか。
この記事が、住宅設備10年保証の提案に少しでもお役に立てれば幸いです。






