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2025年版『小規模建築物基礎設計指針』改定で変わった、液状化リスクへの対応とは?

近年、大規模地震が発生するたびに液状化被害が注目されています。2011年の東日本大震災では、千葉県浦安市をはじめ広範囲で液状化が発生し、住宅やインフラに大きな被害をもたらしました。また、2024年の能登半島地震でも、住宅地や道路における液状化被害が報告されています。

こうした実被害を踏まえ、2025年版『小規模建築物基礎設計指針』では、液状化リスクに対する考え方が見直されました。
今回の改定で注目すべきポイントは、液状化の判定方法そのものではなく、「リスクコミュニケーション」の考え方が明確に位置付けられたことです。設計者が単独で対策の要否を判断するのではなく、建築主とリスクを共有しながら合意形成を図ることが重視されるようになりました。

本記事では、2025年版指針における液状化対応の考え方と、住宅事業者に求められる新たな役割について解説します。

「設計者が決める」から「お客様とリスクを共有する」へ

これまでの実務では、液状化の可能性を調査し、設計者が対策の必要性を判断して提案するケースが一般的でした。しかし、地盤には多くの不確実性があります。どれだけ詳細な調査を行ったとしても、将来発生する地震の規模や、地震によって地盤がどのように動くかを完全に予測することは難しく、液状化リスクをゼロにすることはできません。

こうした背景から、2025年版指針では、建築主とのリスクコミュニケーションを重視する考え方が明確に示されました。「何を採用したか」ではなく、「どのように説明し、どのように合意したか」が重要になります。

そのため、調査方法による精度や限界を共有したうえで、評価結果や対策の選択肢を提示し、建築主の意向を確認しながら合意形成を進めることが求められています。また、最終的な合意内容を記録として残すことも重要なポイントです。

なぜリスクコミュニケーションが重要なのか

液状化リスクは、詳細な調査を行ったとしても完全に予測できるものではありません。

ハザードマップは地域全体の傾向を把握するためのものであり、敷地ごとの状況を正確に示すものではありません。また、地盤調査にも精度やコスト面で一定の制約があります。さらに、対策工事を実施した場合でも、想定を超える地震動が発生すれば被害を完全に防げるとは限りません。

そのため、「液状化しません」と断定するのではなく、「どのようなリスクがあり、どのような対策が可能なのか」を建築主と共有し、納得したうえで意思決定してもらうことが重要になっています。

液状化リスクへの4つの対応方法

指針では、液状化リスクへの向き合い方として次の4つの考え方が示されています。

① リスクの受容
液状化の可能性が低く、発生した場合の影響も限定的と考えられる場合には、リスクを理解したうえで受け入れる選択です。

② リスクの移転
地震保険への加入などにより、万が一被害が発生した際の経済的負担を軽減する方法です。

③ リスクの軽減
地盤改良工事や剛性の高い基礎を採用し、建物被害や不同沈下のリスク低減を図ります。

④ リスクの回避
液状化リスクの低い土地を選択することで、根本的にリスクを避ける考え方です。

これらの対応方法は、予算や土地条件などに応じて、複数の方法を組み合わせて検討することも有効です。

例えば、

  • 地震保険に加入する(リスクの移転)
  • 剛性の高い基礎を採用する(リスクの軽減)

といったように、異なる方法を取り入れることで、複数の側面から液状化リスクに備えることができます。

液状化リスクの評価には「地盤を知ること」が重要

液状化は、以下の3つの条件が揃うことで発生します。

  • 砂質土であること
  • 地盤が緩いこと
  • 地下水位が高いこと

そのため、液状化リスクを適切に評価するためには、地盤の強度だけでなく土質や地下水位の把握も欠かせません。

従来広く用いられているSWS試験は、地盤の硬さや支持力を評価するうえで有効な調査方法ですが、土質そのものを直接判定することは難しいという課題があります。

一方、近年はSWS試験を補完する手法としてSDS🄬試験なども活用されており、土質を連続的に推定することで、液状化リスクの評価制度向上に活用されています。

こうした敷地ごとの情報を整理することは、ハザードマップだけでは分からないリスクを把握するだけでなく、建築主へリスクや対策を説明する際の根拠を明確にすることにもつながります。

住宅事業者に求められる新しい役割

2025年版指針が示しているのは、「リスクを低減する設計」に加え、「リスクを説明し、建築主と意思決定する設計」への転換です。
液状化調査や対策工事は、お客様を不安にさせるために行うものではありません。将来起こり得るリスクを事前に共有し、納得したうえで住まいづくりを進めるための重要なプロセスです。

住宅事業者にとっても、説明内容や合意事項を記録し、建築主との合意形成を丁寧に行うことは、トラブル防止や企業への信頼向上につながります。

これからの液状化対応では、「何を採用したか」ではなく、「どのように説明し、お客様にどう選んでいただいたか」がより重要になります。

当社では、2025年版『小規模建築物基礎設計指針』の改定ポイントから、液状化リスク評価の考え方、住宅事業者が実践すべきリスクコミュニケーションまで、分かりやすくまとめた資料をご用意しています。
ぜひ資料をダウンロードいただき、液状化リスクへの適切な説明や提案活動にお役立てください。

編集者

Sasa-ell Next編集部

"Sasa-ell Next"の編集部メンバー。 住宅・不動産の業界動向や関連制度、住宅の品質確保・維持管理など、実務に役立つ情報を発信。

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