
地盤調査データの見方|お客様説明で押さえたいポイント
住宅を建てるうえで、建物を支える地盤の状態を確認することは大切な工程の一つです。 一方で、地盤調査報告書を受け取っても、「どの数値を見ればよいのかわからない」「お客様にどう説明すればよいのか迷う」ということもあるのではないでしょうか。
地盤調査データは、地盤改良の要否を確認するためだけのものではありません。調査結果を読み解くことで、その土地の地盤がどのような状態なのか、建物を建てるうえでどのような点に注意が必要なのかを考えるための情報を得ることができます。
今回は、木造住宅などで多く用いられているSWS試験(スクリューウエイト貫入試験)を例に、地盤調査データを見る際に確認しておきたいポイントと、お客様へ説明する際の考え方について紹介します。
まず知っておきたい「不同沈下」
地盤調査を行う目的の一つが、建物の不同沈下リスクを把握することです。
不同沈下とは、建物を支える地盤が均一ではなく部分的に沈下することで、建物が傾く現象です。
不同沈下が発生すると、
- 床の傾き
- ドアや窓の開閉不良
- 基礎や外壁などのひび割れ
- めまいや自律神経失調症などの健康への悪影響
- 資産価値の低下
など、さまざまな不具合が生じる可能性があります。
そのため地盤調査では、「建物を支えるために安全な地盤か」という点だけでなく、「場所によって地盤の状態に違いがないか」といった点も確認することが重要です。

住宅地盤で多く用いられる「SWS試験」とは?
戸建住宅の地盤調査で多く用いられているのが、「SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)」です。
SWS試験では、先端にスクリューポイントを取り付けたロッド(鉄棒)に重りを載せ、
- 重りの荷重のみで貫入するか
- 貫入しない場合、ロッドをどの程度回転させると貫入するか
を測定し、地盤の硬軟を確認します。

ただし、SWS試験でわかることには限りがあります。試験結果だけで土地全体の地盤リスクを判断するのではなく、ほかの情報と合わせて確認することが大切です。
SWS試験の結果を見るときのポイント
報告書には、さまざまな数値やグラフが記載されています。
ここでは、代表的な項目を見ていきましょう。

① 荷重
ロッドに載せた重りの重さを示す項目です。
SWS試験では、段階的に荷重をかけながら、ロッドが荷重のみで貫入するかどうかを確認します。最大1kN(約100kg)まで載荷し、それでも沈まない場合には、ロッドを回転させながら貫入させます。
② 半回転数
ロッドを回転させながら地盤に貫入するとき、25cm貫入するために必要となった半回転数を示します。
一般的には、同じ条件で比較した場合、半回転数が多いほどロッドが貫入しにくく、固い地盤であると考えられます。
ただし、半回転数だけを見て地盤の良し悪しを判断するものではありません。
荷重や深さ、各測点の結果などと合わせて、地盤の状態を確認することが大切です。
③ 貫入深さ
調査を行った深さを示します。
深さごとの地盤の状態を確認する際の基本となる項目です。どの深さで地盤の状態が変化しているのかを見るときにも役立ちます。
④ 貫入量
グラフ1コマ分における、地盤への貫入量を示します。
⑤ 1m当りの半回転数
25cmごとに測定した半回転数を、1m当たりの数値に換算したものです。
グラフから「自沈層」と「回転層」を確認する
SWS試験の結果を見る際には、数値だけでなく、グラフの形にも注目すると地盤の状態を把握しやすくなります。
-自沈層
重りを載せただけでロッドが貫入する層を「自沈層」といいます。
一般的には、軟弱地盤である可能性が高く、注意が必要なポイントです。
-回転層
最大1kN(約100kg)まで載荷してもロッドが自重で貫入せず、ロッドを回転させることで貫入した層を「回転層」といいます。
一般的には、自沈層と比べて貫入しにくい地盤であることを示します。
ただし、「回転層だから安全」「自沈層だから危険」と単純に判断するのではなく、深さや層の連続性、各測点の結果などを含めて確認することが大切です。
「地盤が固ければ安全」とは限らない
実はここが最も誤解されやすいポイントです。
SWS試験では、主に、「地盤が固いのか、軟らかいのか」という情報を得ることができます。
しかし、試験結果だけでは、
- 盛土なのか自然地盤なのか
- どのような土質なのか
- 将来的に沈下する可能性があるか
までは十分に把握できません。
つまり、「地盤が固い=その土地にリスクがない」と考えるのは適切ではありません。
地盤を評価する際には、調査データだけでなく、土地の造成状況や地形、過去の土地利用なども含めて確認することが重要です。
長期許容応力度・地耐力を見るときのポイント
報告書では、「長期許容応力度」や「地耐力」といった言葉を目にすることがあります。
「長期許容応力度」とは、長期的に建物を支えることを想定した場合に、許容される荷重の目安となるものです。
一方、「地耐力」は、単に地盤の強度だけを見るものではなく、長期許容応力度に加え、沈下・変形などを含めて、建物を支えるうえで必要な性能を考える際に用いられる考え方です。
そのため、「長期許容応力度の数値を満たしている=地盤に問題がない」と単純に判断するのではなく、
- 盛土や埋め戻し土などが含まれていないか
- 沈下や変形の可能性はないか
- 地盤の状態に偏りがないか
といった点も含めて、総合的に確認することが大切です。

調査データだけでなく「土地の履歴」も重要
地盤の状態を考えるうえでは、調査結果だけでなく、その土地がどのように形成されてきたのかを知ることも重要です。
現在は整った住宅地に見えていても、過去には、谷地や水田、盛土造成された土地であったというケースがあります。
こうした土地では、調査結果だけでは把握しきれない情報がある場合もあります。
そのため、地盤評価では、
- 地形図
- 土地条件図
- 現代・過去の航空写真
- 旧版地形図
- 周辺の地盤データ
などを調査結果と併せて確認します。

「現在の土地がどのような状態なのか」だけでなく、「この土地がどのようにできてきたのか」を知ることが、地盤リスクを考えるうえで重要なポイントです。
お客様へ説明するときに意識したいこと
お客様が知りたいのは、「地盤改良が必要かどうか」だけでなく、「この土地に安心して家を建てられるか」ということではないでしょうか。
調査結果を伝える際には、地盤の状態や評価の考え方についても、お客様にわかりやすい言葉で説明することが、安心感につながります。
例えば、「地盤の強度は問題ありません」と結果を伝えるだけで終わらせず、「調査結果に加えて、土地の造成状況や周辺の地形なども確認したうえで地盤を評価しています」と説明することで、地盤の評価に至った背景まで伝えることができます。
まとめ
地盤調査報告書を見るときは、個々の数値だけに注目するのではなく、
- SWS試験の結果
- 自沈層の有無
- 長期許容応力度
- 盛土・切土などの造成状況
- 土地の履歴
- 堆積している土の種類
などを総合的に確認することが重要です。
地盤調査報告書は、地盤改良の要否を確認するだけの資料ではありません。
調査結果と土地の背景から地盤の状態を捉え、その内容をお客様にわかりやすくお伝えすること。
そうした積み重ねが、安心して住まいづくりを進めていただくための、大切なコミュニケーションにつながります。
説明用パンフレットをご用意しています。日々の業務に、ぜひお役立てください。
事業者様向けはこちら 「テクニカルガイド」
お客様説明向けはこちら 「What’s地盤」






