
営業から設計、アフターに至るまで 「サービス第一」「引き算しない」 姿勢を貫く/大阪ガス住宅設備
大阪ガス住宅設備の家づくりは、時間をかけてじっくりとお客様の話を聞くことから始まります。
お客様の対応に関しては、生産性、効率性を優先しない営業・設計・施工・アフターの姿勢が、結果的に多くのファンを生み、口コミ・紹介となって返ってくるのだとか。
橋本幸二社長と4人のスタッフに話を伺いました。
取材・文 = 金井友子(新建ハウジング)

今回お話をお伺いした大阪ガス住宅設備のスタッフの皆さん。
同社の母体は社名からわかる通り、都市ガス大手の大阪ガス(以下:大ガス)です。元々はキッチンや風呂まわりでの非燃焼の設備機器を扱う関連会社としてスタートし、1995年に住宅事業部を立ち上げました。

ワークスペースとしてつくられた離れ。屋根付きのテラスでつながり、仕事や趣味など多用途に使える空間。

長く伸びた庇と切妻屋根で落ち着きのある和モダンの住まい(三田市オープンハウス)。
「自前」にこだわる
これまでに注文住宅を中心に延べ3500棟建築。こだわりの1つは、土地の仕入れから集客・営業、設計、施工、アフターに至るまで、ほぼすべての工程を内製化する“自前”の姿勢だと言います。「自前は大ガスグループのDNAのようなものであり、私たちの強み。蓄積したノウハウを生かしやすく、人材・時間・コストのハンドリングがしやすく、変化に素早く対応できるといったメリットに加え、お客様の安心感にもつながっています」と橋本幸二社長。
常にお客様起点で物事を考える大ガスグループの社是「サービス第一」も、部門を超えて社員1人ひとりに染み付いていると言います。

橋本幸二社長。「品質・性能・デザイン・アフター・保証を高いレベルで備えながら大手ハウスメーカーよりも手が届きやすい。そこには絶対の自信があります」
引き算しない家づくり
営業・設計においては、「夢を引き算しない家づくり」を徹底。打ち合わせ回数の上限を決めず、お客様の言うことを決して否定せず、根気強く話を聞きます。「インターネットやSNS などで情報過多になり、あれもしたい、これも欲しいと混乱しているお客様の頭の中をプロの知識とノウハウで“交通整理”するのが私たちの役目。時間はかかりますが、このステップを経ることでお客様が本心から望む暮らしが叶うと思っています」と、コンサルティング営業部部長の笠松久嗣さんは話します。
着工のタイミングが訪れると、多くのお客様が「寂しい」「来週から何をすればいいかわからない」と漏らすほど毎週末の打ち合わせは濃密で楽しい時間。引渡し後のアンケートには「じっくり話を聞いてくれたおかげで一切妥協することなく理想を詰め込めた」といった感想に加え、社員の“人柄”を評価する声が圧倒的に多いそう。「注文住宅の紹介率が5割を超えることからも、“引き算しない家づくり”が口コミ・紹介につながっているのは明らか。一見、非効率なようでも今のやり方が正解だと思っています」(橋本社長)。
また、大々的なテレビコマーシャルや総合住宅展示場へのモデルハウス出展を行わず、そのぶんのコストをお客様の建物に還元するというのが同社の考え方。販管費を極力抑えていることも、結果的にお客様満足度につながっています。

緑豊かな立地で、LDK のどこにいても景色が望める住まい。大きな開口部で外とのつながりも感じられる。

1 階ホールの一角に設けられたフリースペース。カウンターがあり、ほどよいこもり感がある(フォルテ・ガーデン ビューグランデモデルハウス)。

2階に設けられた屋根付きのバルコニー。
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アフターも顧客起点
引渡し後のアフターサービスも、「サービス第一」の精神から自然発生し今に至るのだとか。当初は現場監督・建設担当者がアフターを兼任していましたが、現在はカスタマーセンターを設置して専門チーム化。同センター所長の中元徳浩さんは「経営視点で見るとアフターは人とコストが一番かかるため、本来は省力化したい部分。でも当社は『お客様が必要とし喜んでくれるならそれでいい』という考え方なので、私たちは引渡し後のお客様と思う存分向き合うことができるんです」と話します。
現在は3カ月・1年のメンテナンスと、2・7・10年の点検を標準化しており、臨時対応も含め年千数百件のメンテナンス・点検業務に5人のスタッフであたっています。同じくカスタマーセンターの柳英智さんによれば、同社のアフターのモットーは「迅速対応」。スタッフが急行できるか、修繕用の材料の有無は抜きにして、最速での連絡を全員が徹底しています。
長年自前にこだわってきたアフターですが、OB数が3300組を超えた2022年、いよいよ社内スタッフだけでは手が回らなくなると判断し、「2年目点検」をジャパンホームシールド(JHS)と協働することにしました。外注化にあたり決め手となったのはJHSの「社風と人柄」だと中元さんは振り返ります。
現在でも中元さんと柳さんがJHSの今倉さんと点検内容を細かく打ち合わせ、年150件の報告書を1件ずつ丁寧に確認。全現場に出向けないからこそ、写真の点数や撮り方にもこだわります。さらに柳さんは、3カ月ごとに実際の点検現場に同行し、点検の方法や品質にブレがないかを継続的にチェック。「JHSの点検員さんは“住まいの何でも屋”のような存在。機械的にただ点検箇所を目視するのではなく、手入れのアドバイスやちょっとした修繕をしながらお客様と絆をつくろうとしてくれるので非常に助かっています」(柳さん)。
点検を一部外注化した成果も数字にあらわれるようになりました。「当初4割だったカスタマーセンターの出動率が、点検員さんがその場でサッシやクロスの調整をするなど、どんどん精度を上げてくれたおかげで、現在は2割まで減りました」(中元さん)。「時間的・精神的余裕が生まれたことで、10年目点検時の提案に力を入れることができるようになり、この2年間でリフレッシュ工事の利益が約1・5倍に増えています」(橋本社長)。

同社では、お客様の対話の時間を大切に考え、回数の上限を決めず、打ち合わせすることを心がけている。
建売、非住宅への挑戦
資材・エネルギー価格の上昇や将来への不安などで注文住宅市場が縮む中、橋本社長は「進取の気性(=積極的に新しいことに取り組む)で変化しながら前に進みたい」と話します。最近は建売住宅『一期一会の家。』の企画販売に力を入れています。注文住宅で培った設計提案ノウハウを応用し、各区画の特性や生活・家事動線、住み心地を考え抜いた“ありきたりではない分譲住宅”を展開。このプロモーションを担当する上原裕理さんは、完成前にお客様に見せて建物のイメージを固めてもらうツールとしてJHSのCG動画制作サービスを導入しました。CG動画なら平面図や立面パースの数千倍の情報量を伝えられること、若年層と親和性が高いこと、何よりクオリティとコスパの高さが決め手になったと言います。「実際に完成する建物のCG動画なので盛り過ぎず、できるだけリアルに近づけるよう、壁や床の微妙な色味の指示にも細かく対応してくれます」と上原さん。このCG動画を活用しながら同社らしい建売営業のかたちを築き、数年以内に建売事業を注文事業に次ぐ、第二の柱に育てるのが目下の目標。「非住宅分野にも挑戦し、市況が乱高下する時代でも注文・建売・非住宅が補い合う事業運営を目指します」(橋本社長)。

後列右上からJHS の辻、大阪ガス住宅設備の柳さん、上原さん、笠松部長、中元所長、前列右から大阪ガス住宅設備の橋本社長、JHS東福支店長。






