
〝安心〟を形にする家づくりと暮らしを支える建物長期保証/FDM
FDMという社名には、「fundamental (基礎的・基本的・根本的)」という英単語の意味が込められています。その名の通り、同社は断熱や耐震といった住宅の本質的価値を左右する部分を大切にした家づくりに取り組んできました。加えて、建物の価値を長期的に維持するために採用しているのが、ジャパンホームシールド(JHS)による建物サポートシステム。
2021年の事業承継以降、自社のブランディング強化に戦略的に取り組んできた高倉潤社長と小石修平部長に、これまでの歩みと今後の展望について話を伺いました。
取材・文 = 渡辺圭彦

ガレージと玄関ポーチを一体化させ、白を基調にまとめたモダンな住まい。パッシブデザインを基本とし、南面・西面から自然光をたっぷり取り入れつつ、南面上部の開口には外付けブラインドを採用。日射を適切に遮蔽することで、冷房効率を高めている(アートで包まれた家)。

新旧の調和を大切にしたリノベーション事例。十分な収納スペースを確保しながら断熱改修を行い、四季を通じて快適に暮らせる住まいに。
高倉社長は家業の三代目にあたり、先代が住宅事業・サブリース事業を展開する企業として再始動した基盤を受け継ぎました。住環境の本質価値を追求し、建物と暮らし・文化を長期的に育む「永く続く器」をつくることを使命に、地域との関係性を大切にしながら事業領域を着実に広げてきました。
東京で設計事務所を共同主宰していた高倉社長は、2015年の入社後、都市で培った建築的視点とデザイン感覚を持ち込み、東京と大分の二拠点で活動。2017年に帰郷し、2021年5月に社長へ就任。地域と都市の視点を融合させ、企業の価値創造をさらに進化させています。

木造2階建てのオフィスは、街並みに凛とした存在感を放ちながら、木の風合いがやわらかな雰囲気を醸し出している。
住宅の本質を研ぎ澄ませたら
「耐震」と「断熱」が残った
22年には社名を現在の「FDM」へ変更し、本格的にブランディングを推進。「住宅の本質を大切にしたい。余計なものをそぎ落として突き詰めていった結果、耐震と断熱に行き着きました」と高倉社長は話します。
4号特例廃止などの建築基準法改正を見据え、全棟で構造計算を実施し、耐震等級3を標準仕様に設定。断熱性能はHEAT20・G2水準を満たすレベルをベースとし、一般ユーザーにも届く価格帯を実現するため、仕入れ・仕様の最適化にも取り組んでいます。シンプルでモダンなデザインも支持され、現在は年間約80棟の住宅受注を安定して獲得しています。

住宅事業・非住宅事業・賃貸管理事業に加え、飲食・ホテル事業など幅広く展開している。「性能・保証・メンテナンスの三位一体を、バランスよく整えた体制を目指している」と高倉潤社長。
多角的な事業展開が
経営の安定を生む
現在、年商約60億円のうち、新築・分譲などの住宅事業が約25億円、木造中高層ビルなどの非住宅事業が約20億円、サブリースを含む賃貸管理事業が約15億円を占めています。加えて、飲食・ホテル事業なども展開し、地域に根差した多角的な事業構造を形成しています。背景には、先代が示した「船倉の区画が多いほど船は沈まない」という考え方があります。どれか一つの市場環境が悪化しても、他の事業が下支えする体制を整えておくという発想です。住宅が伸びなければ非住宅が補い、安定収益を生むサブリース事業が下支えする。こうした手堅い経営基盤が新規事業への挑戦を可能にしています。
「今後は、都市部でも郊外でも空き家対策が求められます。都市部では買取再販、郊外では古民家リフォームなどにも取り組んでいきたいと考えています」(高倉社長)。
地域ニーズに幅広く応えつつ各事業で独自性を磨き、「FDM」というブランドの存在感は着実に高まっています。

ホテル塒(ねぐら)は、別府・鉄輪温泉エリアの外れに静かに佇む全16室のホテル。木の香り、静かな環境、自由な過ごし方を大切にしている。

同社はホテル、レストラン、カフェ、商業施設など、地域への貢献とまちづくりを見据えた事業も手がけている。湯布院町では「HOTEL MODA」を運営し、地域の新たな魅力づくりに寄与している。

温泉宿とはあえて違う“町に滞在する”体験を重視したデザインホテル。

「HOTEL MODA」の客室は、デザインや素材感にもこだわり、ブランドとしての世界観が丁寧に表現された魅力的な空間となっている。
大手と同等の保証内容で
お客様の不安を解消
同社は21年にJHSの建物長期品質保証・設備保証を導入しました。
ブランディング強化により大手ハウスメーカーとの競合が増え、「保証で見劣りすれば選ばれない」という危機感が背中を押しました。それまでは品確法による10年保証のみでしたが、JHSの建物サポートシステムの導入により構造・防水を20年保証、設備保証は10年を基本とする体制へと刷新。最長60年の長期保証プログラムを構築し、現在では多くの大手ハウスメーカーと同等の保証水準を実現しています。住宅のスペックだけでなく、購入後の安心をどう担保するかが、ブランド力に直結する時代になったことを象徴しています。

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住宅営業の初期段階から
保証内容をしっかり伝える

住宅営業の早い段階から、自社の保証内容を丁寧に伝えることが、お客様の安心につながると小石部長は話す。
営業部門を統括する小石部長も「大手と同じ保証体制です、と自信を持って伝えられることがお客様の安心につながる」と話します。
「今のお客様は地場の住宅会社と大手をフラットに比較されます。そのため、当社では面談の初期段階から保証体制をしっかり説明しています。同じ土俵に立たなければ勝負になりませんから」(小石部長)。
性能×保証×メンテナンス
三位一体で価値を守る体制づくり
住宅の本質的価値を守るうえで、長期的にメンテナンスを重ね性能を維持していくことは欠かせません。FDMでは昨年春からメンテナンス専任スタッフを配置し、OB顧客へのアフターサービスをさらに強化しました。点検や部品交換の履歴を一元管理する仕組みも整え、住まいの状態を“見える化”することで、お客様が将来の修繕計画を立てやすくなるようサポートしています。
「JHSの品質保証制度を導入したことで、そのベースが整いました。お客様に末永く快適で安心して暮らしていただける確かな住まいをご提供する。ストック住宅の品質を高め、地域の住宅環境をより良くしていくためにも、不動産としての価値を保ち続けられる家を増やしていきたい。性能・保証・メンテナンスの三位一体をバランスよく整える体制を目指しています」(高倉社長)。
26年からは防蟻保証などを含め、さらに保証内容を充実させる方向で検討中。保証を広げることで“万が一”の不安を取り除き、住まいの資産性を長く維持できる仕組みを築きたい考えです。インフレや国際情勢の不透明感が続く今だからこそ、安心して暮らせる住まいの価値はより一層高まっています。そうした背景を踏まえ、大分の三代目社長はJHSと連携しながら、長期的に価値を守り続けられる家づくりの体制を着実に築こうとしています。

右からFDMの高倉社長、小石部長、JHS九州支店の松尾、渡邉支店長。






