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20年超の不法行為責任が認められる可能性は?

今回は最高裁でのある判決により、20年を超える建物に関して瑕疵が発見された場合における、不法行為責任が認められる新たな可能性について解説します。

最高裁判所大法廷で令和6年7月2日、旧優生保護法の国家賠償請求訴訟の5件の上告審において、重要な判断を示しました。令和2年改正前の民法 724条後段の20年の除斥期間(※1)を適用するためには当事者の権利や法律の適用を主張することが必要で、除斥期間の援用が信義則(※2)違反、または権利濫用となる場合があるという内容でした。

最高裁は、控訴期間の柔軟化をさらに推し進める途を選んだとして、弁護士の中では大注目の判決です。

(※1)除斥期間:特定の権利を行使できる期間
(※2)信義則:「信義誠実の原則」の略で信義に従い、誠実に行わなければならないこと

築20年超の建物で瑕疵が発見された場合

【従来】

民法724条後段の20年の徐斥期間は、20年が経過すると不法行為債権は法律上消滅することを意味しており、「無償では対応できない」と回答するようにアドバイスしていた

【今後】

・排斥期間の経過を理由に責任を負わない主張が可能かを確認する

・その主張が信義則に反するか、または権利の濫用と判断される可能性があるかを検証する

秋野弁護士のポイント解説

今回の最高裁判決により、権利者が権利の上に眠っていたのではなく、権利行使が困難な要因や環境を加害者自体が生み出し、結果的に助長しており、そのような加害者が時の経過により免責を得ることは許されないと判断することとなります。

~20年超の不法行為責任が認められる可能性~

① 建物の建築や設計に重大な不備があること(加害行為の重大性)

② 被害者である施主は、重大な欠陥を発見することが極めて困難であり、また、住宅会社が意図的に欠陥を隠蔽するなど住宅会社の対応に、信義則に反しまたは権利の乱用として許されないと評価されてもやむをえない事実があるかどうか

​​​​​​​ 例えば、建物の耐震性能に関する重大な設計上の不備が住宅会社の意図的な隠蔽により施主に知らされないまま建物が建築され、住宅会社が改ざんの事実を知りながら、これを隠蔽していたが、後日地震が発生し、建物の不同沈下が発生した(不可抗力免責とはならない事案を前提)という事案では、築20年超の建物について、不法行為責任が認められる可能性があるものと考えます。

秋野卓生(あきの たくお)弁護士

弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。

2017年度より、慶應義塾大学法科大学院教員に就任(担当科目:法曹倫理)。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。

【役職等】

平成16年〜平成18年 東京簡易裁判所非常勤裁判官

一般社団法人日本建築士事務所協会連合会理事・法律顧問弁護士

一般社団法人住宅生産団体連合会消費者制度部会コンサルタント

令和6年度 日本弁護士連合会常務理事、第二東京弁護士会副会長

Sasa-ell Next編集部
Sasa-ell Next編集部
Sasa-ell Next編集部のメンバーが、住宅から不動産まで役立つ情報を広く深く発信していきます!

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